
逢いたくて、素直になれなくて
第1章 平和?な日常
「沙羅先輩だぁ~!ヤバっ!顔ちっちゃーい!スタイル良すぎでしょ?!」
「羨ましいわ~」
「おい、沙羅ちゃんキレイ過ぎねーか?!」
「なにお前名前で呼んでんだよっ!」
名前で呼ぶくらいいいじゃんよ。
てかジロジロ見過ぎだろ!
朝校門をくぐり抜け、教室に行くまで続く人の群れ
内心ツッコミながら下を向いて超早歩きで2ー4の教室へと急ぐ
ガラガラっ
「切実にいい加減にしてほしい!切実に何なの?!切実に私を見ないでくれないですかねっコノヤロー!!」
教室に入って直ぐ叫んだ
「ぷぷ…何回『切実に』って言ってるの沙羅ちゃん、ぎゃははは!」
「三回よ。てか沙羅顔ひどいし、徹平(てっぺい)もうるさい」
「ぎゃははっ、だって、沙羅ちゃん凄い剣幕!」
「徹平くんっ、そ、そんなに笑っちゃ沙羅ちゃんが、ぷっ、可哀想だよ(笑)」
「そうだぞ徹平ー確かに今の沙羅の顔は醜かったが笑うのは失礼だぞ」
「あんたら全員だまれっ!」
「『おーコワっ』」
声を揃えて言う4人が集まる机に行き、椅子に座った。
「沙羅ちゃん怒った?」
ニヤニヤしながら話しかけてきた徹平を横目で思いっきり睨んだ。
ちょっとは悪いとおもえっつーの。
制服の下にパーカーを羽織り、緩くパーマを当てた茶髪で前髪をアップにしているこいつは、下村徹平(しもむらてっぺい)
キラキラの笑顔に人なつっこい性格で、男とは思えない可愛い顔。男女問わず人気がある。特に3年の女子に…
徹平のくせに。
「沙羅が怒ってない時はないのよ」
そんな事ありません。
長い脚を組み、気怠そうに欠伸をしている姉さんは、高嶋桃(たかしまもも)
真っ黒でサラサラロングな黒髪に真っ白な肌、美人過ぎるわ。性格は大人で基本無表情。喋ると毒しか吐かない。近寄る男は数分で泣いて帰って行くという。
優しさ持とうか。
「あっ、沙羅ちゃんおはよー。イライラには糖分だよ?お菓子だべる?」
意味の分かんないKY発言をしてるこの子は佐名篠夢花(さなしのゆめか)
肩で揃えたハニーブラウンの髪を緩く巻き、可愛い過ぎる笑顔を浮かべる彼女は、可憐で小柄で上品で…ド天然だ。天然ゆえに人を傷付ける。よく男に捕まっては泣いている。
夢花も笑ってたよね。
