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第9章 裏と表

「あんな事って、キスしただけじゃん。それに、嫌いってのは傷付くなぁ」

そう言って更に私に歩み寄る名取に

「それ以上近付かないで下さい!
私にだって好きな人が居るんです!!」

はっきり言った私の言葉に、ピタリと歩みを止めた名取

「ふ―ん、でもさぁ。睦月ちゃん、そんなに嫌がってなかったよね」

「あれは、いきなりで!?」

「いきなりでも、あんな風に近付いてきたら普通分かるよね?」

言われ冷たい視線に、名取が怖くなった。ゾクッと背筋に悪寒が走り肩が震える。

名取がニヤリと口の端を上げ

「今更無しには出来ないし、やっちゃったからには仕方ないよね? 僕間違ってるかな」

言って近付いて来る名取に、体の中で警告が鳴った。

『逃げて!!』そう本能が言っていて

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