テキストサイズ

オレンジ

第9章 裏と表

少し硬めの髪が首に当たり、くすぐったく思いつつ律の溜め息が届いた。

「ハァ、別にお前が嫌いって訳で避けてたんじゃないし、ただの自己嫌悪だ」

はて?
自己嫌悪?と分からず首を傾げていると

「俺がお前を殴ろうとしただろ、だからだよ。反省の意味の自己嫌悪」

そう言われて私は小さく笑って返した

「私の事は気にしなくていいのですよ。自分から飛び込んで、殴られに行ったんですもの律が気にする事はないですよ」

けど律の怒鳴り声が響いた

「――馬鹿か!! 気になるし嫌なんだよ、分かれよ!!」

あっと思った。自分勝手な行動も発言も、何一つ上手くいかない。空回りする私は黙っていると身体をギュッと、更に強く抱き締めた律は弱々しい声で呟いた

「俺は他人の体温が苦手で、触られただけで拒否反応が出るんだよ。頭に血が上ると周り見えね―し……
正直自分でも、ヤバイなっとは思ってんだが、どうしても無理で」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ