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第9章 裏と表

それなら、私は?
ふと思って律の腕に触れて言った。

「あの、私は大丈夫なんですか?」

「そうだな、睦月なら触っても別に平気だ。なんかこう、小動物的な感じがするし」

「え!? それは人間として
見られていなかったということですか!?」

酷い言われように、がっくしする。
でも私だけだと言われ、嬉しくなり

「不本意ですが、律と一緒に入れるなら私はそれだけで嬉しいです」

言いながら何だか顔が赤くなった。でも、律は不機嫌な声を出していて

「ふ―ん、で、名取とはどうなってんだ?」

「え? なんの話しですか?」

「とぼけんなよ! 昨日の夜、一緒にいただろ!」

昨日の夜……
思い出すだけで、胸が苦しくて私は小さく身体を震わせながら言葉を紡いでいた。

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