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第9章 裏と表

聞いた私の目を見ずに、律は呟く。

「ほら、お前が寝ちまって、仕方なく家に連れて来たときにっ、だな……」

「あのときは邪魔されて……
未遂でしたよね?」

「だぁっ――からっ!! 寝てるお前にやっちまったんだよ!!」

一瞬固まる私は、すぐさま叫んだ。

「えぇ――っ!?
なんで、言ってくれないんですか!!」

「言えるか、馬鹿っ!!」

怒鳴られた私は、顔が真っ赤になるのが分かり両手で頬を押さえた。でも、信じられなくて私はムスッとしている律を見た。

「なんで、起こしてくれなかったんですか?」

「起きないお前が馬鹿だからだろ」

意地の悪い言い方、でも確かに私は大がつくほど馬鹿だと思った。気付いて起きていれば、どんなに嬉しかっただろうか。

ガッカリする私は弱々しく言う

「その、一回だけですか?」



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