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第9章 裏と表

「いや、三回くらいか」

「さ、三回ですか!?」

驚きを通りすぎ、自身に呆れてしまう。
なんで、起きなかったのかと肩を竦めて
漏れた溜め息。そのまま、律を見ながら言った。

「大馬鹿です、ほんとに……」

「フッ、いまさら気付いても遅いけどな。
次は賢くなれよ」

言われてすぐに律の腕に掴まり
私は目を見開いた。

柔らかいモノが唇に触れていて
これが、唇だと気付いた時にはチュッと
弾む音が耳に届いた。

ゆっくりと、律と目が合う私は唇を手でおさえつつ言った。

「今のは……」

「消毒」

そう言い、コツンっとオデコ同士がくっつき律の瞳が熱を帯びる、逸らせない私に律は唇を押さえる手を掴んだ。外された手をギュッと繋ぎ、もう一度唇を重ねていた。

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