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第10章 裏と表(律視点)

「一方的な嫉妬は見苦しいですよ。選ぶのは彼女であり、貴方ではありません」

「……っ」

押し黙る俺はイライラしていた。確かに、彼奴に何も伝えていない俺が、睦月をどうこう出来る立場じゃない。

だが、彼女の空気や雰囲気が好きで気に入っている事は確かで、アレを好きかと聞かれたら俺はなんて答えるだろう。

今でさえ、彼女を避けて何が彼奴の為になる。コイツらから、彼奴を守る事だけが俺に出来る事なのか……

愛しく思いただ、傷付かずに知らずに
俺の側に居てくれるだけで
それだけでいいと
それは、自分勝手な願いなんだろうか。

「それでもなぁ、彼奴を泣かせたら許さね―」

「フッ、随分甘く緩い考えですね」

そう言い金剛が一瞬見せた暗い表情、すぐに元の険しい顔付きに変わった。

「まあ、主に危害を加えなければいいですけど」

「……野原刹那の事か」

俺が睨み聞くと、金剛は鼻で笑い言った。

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