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第11章 悪意の塊

だが、中垣は真剣な眼差しで更に言っていた。

「お前、しっかりしてるように見えてもボヤーっとするだろ。だから、前々からヤろうかと思ってて忘れてたっていうか。ん―、取り敢えず持ってろよ」

「あ、はい」

返事をした私はポケットに入れた。

それから、すぐに肝試しがスタートした。

配られた懐中電灯を持った名取は楽しげな表情で、私の方を向いた

「楽しみだね、睦月ちゃん~」

「そ、そうですね……」

詰まらせつつ、言葉を返す私は顔が引きつっていた。そんな表情にニヤリと、口角が上がり名取は小声で呟いた。

「そんな、嫌そうにしなくてもいいじゃん。楽しもうよ、ね?」

「別に、嫌って訳ではなく……」

「そう? じゃあ僕が怖くなったのかな」

「――っ!?」

図星を当てられ、驚く私に名取は言う

「あんま、不自然にしてると」

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