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第11章 悪意の塊

チラリと目で、野原と長谷川の方を見た名取にゾッとしてしまう。邪な企みを顔に出す名取が恐くて仕方なかった。

ダラダラと流れる冷たい汗、手が震えた。

スッ――っと、私の横に立った名取

「ほら、見られてるぽいし。普通にしなよ野原に怪しまれちゃうよ」

ボソッと、耳元で言われた私は顔を上げて視界に映る律と目が合った。少しだけ安心する、ただその横の野原が気になる。

何でこんな事をするのか……
不思議でならない。

私はキッと、目を鋭くさせた

「名取君!! 頑張ろ!」

そう言い名取を見上げた。彼は一瞬だけ驚きを見せたが、すぐに元に戻る

「ふふ、睦月ちゃんぽいね」

「怖がってたら何も見えませんし!」

そう返し、震えている手をギュッと握った。

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