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第11章 悪意の塊

身体が硬直する私の逃げ道を塞ぐように顔の横に置かれた両手。目の前には名取が蔑むような視線を送っていた。

不意に名取の顔が近付いた事に、私は視線を斜め下に逸らした。

「悪ふざけなら、やめてください……」

何とか言葉にした私に、名取はクックッと笑っていた。

「じゃあ、本気ならいいの? 好きだよ、愛してるって、言えばいい?」

「違っ、そうではなくて……」

名取の顔が見れない私は、眉を潜めつつ言葉を紡いだ

「私には好きな人が居るんです、だから……
名取君とはっ」

「だからなに?」

すかさず、名取が言い私の顔を上げさせる。目と目が合い、私は動けなくなった。鋭く刺すような獣の瞳から、逃げ出せない。

「君が誰を好きだろうと、僕には関係無い事だよ。それに、言ったよね。君は大事な駒なんだから」

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