テキストサイズ

オレンジ

第12章 絡まる鎖

その瞬間、空気がピリピリとしたものに変わっていた。律の低めの声に怒りが、更に増していた。

「お前の仕業か……」

「さぁ、何のことだろうねぇ。僕に何か言うよりもさぁ、睦月ちゃんに酷いことしないで欲しいな」

そう言いながらニヤニヤと笑う名取。場の空気が悪くなる様子に、咄嗟に口を挟んだのは中垣だった。

「長谷川、ちょっと落ち着け!! んでもって、森永!! お前は俺と来いっ!!」

「あ、はい!」

返事をした私は、名取の腕から離れ中垣の方へと行く。険悪な空気は残ったままで、残りのメンバーも私達の方へと集まっていた。

その中で、金剛は中垣を見ながら言った。

「取り敢えずは、喧嘩しないように見張っていますので……」

「ああ、サンキュ♪ 任せるからな」

返した中垣は、私の手を引き皆から離れていった。そんな私達を横目に、野原と金剛が密かに話していたとは知らなかった

「何なのよ、あの子?」

「名取がまた何かやらかしたようですね」

「ゲームがめちゃくちゃじゃない」

「ですが、貴女の望みは叶う筈ですよ」

小声で話す内容を、この時、誰も気付かなかった。睨み続ける長谷川とヘラヘラと笑う名取、その様子をハラハラしながら見ている神城と桜花だった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ