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第3章 影の存在と私達

次の瞬間には、私は腕を掴まれた。

触らない触らせない彼が、私の腕を引っ張っていたのだ。ドンッと、固い筋肉質な胸に鼻の頭がぶつかる。

頭の中が混乱する私に、長谷川の低めの声が聞こえた。

「触んな、コイツは俺のもんなんだ」

「は、すみません!」

と中垣が謝る声が

えっと……

状況が掴めない私は、長谷川を見上げた。気分が悪いのか、彼の顔は少し青くなっていて微かに私を抱く腕が震えていた。

どうやら、かなり無理をして触っている様子が分かる私は

「律、大丈夫ですか?」

「なにがだよ」

と機嫌が悪い声

私は長谷川を見上げたまま、ソッと手を伸ばした。一瞬で見開かれた瞳、長谷川の歪んだ表情が見えていたが、私の手は彼のオデコに到着した。

熱を測るように私がやっていると、呆れ顔で彼は言った。

「何やってんだよ……」

「うん、熱がありますね。保健室、行きましょう」

そう返し、笑顔を向ける。

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