テキストサイズ

オレンジ

第1章 私と彼

ガラッ

私が開ける前に扉が勝手に開いた。いや、そうではなく、先に開けられたようだ。

視線を上げると、目の前には長谷川律が居た。突然の事に私は言葉が出てこない。

「あれ、アンタまだ居たんだ…」

言われた私は、慌てて言葉を紡ぐ。

「あ、はい! 日直でしたし、今から帰ります」

「ふ―ん」

と興味がないような、返事。またまた、私は言葉を探した。

「えっと、長谷川君は何か忘れ物ですか?」

「まぁ、そんなとこだな、取り敢えず退いてくれる?」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ