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オレンジ

第4章 固い壁

そんな二人の様子を遠くから
見ていた二つ影。

双眼鏡で眺めながら、影は呟く。

「ふふ、前々から新しい犬が欲しかったけど気に入ったわ。あの長谷川律に、あんな顔させるなんて彼女やるわね」

「随分と楽しそうですね、これから、どうなさるおつもりで」

近くにいた、影は言う。

クスクスっと笑い答えた。

「そうね、私ならもっと二人の仲を引き裂いてボロボロになったところを、狙うかしら」

「それでしたら……」

不穏な空気が
二人の知らない所で蠢いているとは
思ってもいなかった。

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