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オレンジ

第4章 固い壁

屋上に着いたが鍵が閉まっていて
内鍵を開けた。

扉を開けると、雨に濡れ、ずぶ濡れの森永が座り込んでこっちを見ていた。

「り、律……?」

小さな弱々しい声
長谷川は近付いていた。

雨の中、彼は彼女に両手を伸ばした。

キツく抱く腕は彼女の存在を確めるように、声を耳に届けた。

「馬鹿、心配させんな……」

「……ほんとに、律なの?」

彼女の信じられないと言う声に、身体を少し離し顔を見た。今にも泣きそうな顔、揺れる瞳からは雫が溢れた。

「ほら、もう大丈夫。だから、泣くなよ」

ゆっくりと指で涙を拭い、安心させるように彼は柔らかく微笑む。

瞬に彼女の顔が崩れ

「ご、ごめんなさいっ……」

謝り泣く彼女を両腕に包み込み
優しく頭を撫でる。

泣き止むように、恐くないように
大事に大切に……

「やっぱ、好きなだけ泣いとけ
俺の胸ならいつでも貸してやるよ。
だから、一人で抱え込むな」

そう優しく言うのだった。

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