テキストサイズ

オレンジ

第5章 離したくない手

現れた部屋の持ち主
そう、長谷川だった。

真っ赤な顔で固まり口を魚のように、パクパクさせていた私を悟る、彼の長い溜め息が聞こえていた。

「あ――――
勝手に着替えさせたけど、見てない」

「ほんとに……?」

「…………」

無言の長谷川はやや斜め下を向いていて、耳が少し赤くなった。片手で口元を押さえている彼の姿に

胸がキュンとした。

照れてる?

か、可愛い……

と思ってしまう私は、見られた事をすっかり忘れていた。

「えっと……律?」

名前を呼ぶと、彼の横目が私に向けられ

「何だよ」

「て、照れてます……?」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ