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隣人

第1章 新居 4月

「働いて一人暮らしする」
進学をするつもりもなく、早く家から出てしまいたかった美咲は、両親に反対されながらも一人暮らしを始めた。
ただ条件として、親戚のアパートを充てがわれた。

「まぁ、敷礼金ないだけでもいいか」
大家の叔父さんは離れたマンションに住んで居るため、敷地内の掃除をする代わりに、家賃も安くしてくれた。

引っ越し当日。
両隣に菓子折りを持って挨拶に行く。
左隣は留守のようだ。
右隣の呼び鈴を鳴らす。
「はい」
とても感じの良い、綺麗な女性だった。年は、30才くらいだろうか。
「こんにちは。今日隣に越してきた川野です。これ、つまらないものですが、食べて下さい」
「あら、すみません。吉田です。今主人は不在なので、伝えておきますね。ありがとう、よろしくね!」
ご夫婦なのか!子どもは居るのかな?
気さくな感じの人で安心した。
「なんか、楽しくなりそう~」
素直にそう思えた。


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