君がくれたぬくもり
第1章 出会い
ここは夜の繁華街。
陽菜は歩道橋の真ん中に立っていた。
辺りはキラキラとネオンが輝き、夜なのにざわざわと騒がしい町。
見下ろせば、たくさんの車が走っている。
決して綺麗な景色ではないけれど、陽菜が好きな場所だ。
そして陽菜はこの場所で
「さようなら。」
ゆっくりと目を閉じた。
――――陽菜をいじめた奴ら
――――陽菜を殴った母親
――――裏切った親友、恋人
陽菜の心は“憎しみ”しかない。
今から死にます。
死んで、あんたら全員を不幸にしてやるんだ。
陽菜はカッと目を開き、歩道橋に足をかけた。