君がくれたぬくもり
第20章 約束
あの電話から、陽菜はほとんど部屋から出なくなった。
怜香が心配してご飯だけは置きに来てくれたが、食欲なんてあるはずがない。
……重症だね。
「陽菜、いい加減食べなきゃだめだよ?」
「怜香、ごめんね…」
「謝るならご飯食べなさい。」
「…はぁい。」
しぶしぶ返事をすると、怜香は納得したように部屋を出て行った。
陽菜はデザートのフルーツだけをお腹に入れ、再びベッドに寝転んだ。
「岳に会いたいよぉ…」
会って抱きしめてほしい…
それだけで陽菜は元気になれるのに…。
ぼーっと天井を見つめていたその時、玄関のドアが開く音がした。
壁が薄い部屋からは誰かがどこかに出入りするとすぐにわかる。
すると部屋のドアをノックする音がした。
「はい……?」
「……俺」
ドアの外から陽菜が1番聞きたかった声がする。
陽菜はボサボサの髪を手ぐしで整え、部屋に散らばる服やらを隅にかためた。