君がくれたぬくもり
第20章 約束
「ど、どうぞ!!」
――ガチャ
静かにドアが開き、岳が入ってきた。
「陽菜…」
「岳っ…」
姿を見た途端堪え切れなくなった。
涙がぽろぽろとこぼれだす。
岳はゆっくりと陽菜の隣に座り肩を抱いてくる。
そのゴツゴツとした手で、止まらない涙をひとつひとつ拭き取ってくれた。
「……。」
何も言ってこない岳。
陽菜はもうその意味に気づいてしまっていた。
これで岳とは最後かもしれない…と。
この温もりにはもう触れられないかもしれない…と。
「岳…陽菜を抱いて?」
岳の胸に顔を埋め、おねだりする。
岳は陽菜を抱き上げ、膝の上に乗せた。