君がくれたぬくもり
第5章 感じない
するとリビングのドアが開いた。
陽菜は慌てて涙を拭い、顔が見えないよう俯いた。
誰が来たのかはすぐにわかった。
この匂い…
この煙草と香水の匂いはよくわかる。
「………岳?」
ドサッと音がしたかと思うとソファが揺れる。
顔を上げて確認すると、やっぱり岳だった。
岳は陽菜の顔を見て目を丸くさせる。
「………何があった?」
「……っ…」
陽菜は慌てて手で顔を伏せる。
しかし岳がその手を引き剥がしす。
そして陽菜の首に触れた。
「や、やめてよぉっ…」
「…ヤッたのか?」
!!!!
岳の腕を振り払う。
「どうなんだよ。」
「岳には関係ないでしょ!?
何で陽菜にかまうの?!
ほっといてよ……!!」
陽菜は逃げようと立ち上がる。
岳は止めなかった。