テキストサイズ

君がくれたぬくもり

第52章 ユルサナイ






―――――――………

    ―――――――………




午後



あたしと岳ちゃんはパラソルの下に二人でいた。




端から見れば、どうみても恋人同士なのに…



二人の心はバラバラだった。




岳ちゃんの視線は浜辺よりやや遠い位置で泳ぐ…




陽菜ちゃん…。






どうしてなの?



岳ちゃんはふられたのに…



あの子は岳ちゃんを捨てた最低な女なのに…




あたしの方が大好きなのに…。




何であの子を見て微笑むの?




あたしにはそんな顔、


したことないじゃない……





考えれば考えるほど、モヤモヤと蓄積されていく嫉妬心。



あたしは叫びに近い声で岳ちゃんを呼んだ。




「ねぇ、岳ちゃん!!」


「……あ?」




岳ちゃんはハッとしてあたしを見る。



その顔はほんとに驚いているようだった。



岳ちゃんはやっぱり陽菜ちゃんが好きなんだね…。


いつだって無意識にあの子を見ているんだ。



あたしと付き合ってるのに…。




「あたしも岳ちゃんと海入りたい。」


「あぁ?俺はいいし…お前一人で入ってこい。」


「やだ!
岳ちゃんとがいいの!」




あたしは岳ちゃんには普段めったに言わないわがままを言った。



岳ちゃんは面倒臭そうにため息をついた。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ