テキストサイズ

君がくれたぬくもり

第53章 待ち人






気まずい…。



それに、また涙が出そうになった。




「陽菜、帰るね。」



耐えられなくなった陽菜は、


俯いたまま、岳の横を通り過ぎる。




―――その時だった。




「……きゃっ!?」



ぐいっと引き寄せられる身体。



あまりの力に陽菜は抵抗もできず、そのまま岳の胸に埋もれる。



何が起こったの!?


何で抱きしめられてるの!?




「ちょ、岳っ…!?///」


「このまま……」


「え…?」


「このまま………お前とひとつになれたらいいのにな……」




―――ドキン…




「………ぇ…///」


「変な意味じゃなくて…俺の身体の一部になればいいのに……って。」




今にも消えてしまいそうな、小さくかすれた声で切なく言う。




どうして




そんなこと言うの…?///




まだ陽菜が好きだから…?


それとも、いつかのように、また裏切るつもりなの?



期待させるだけさせて


また陽菜を傷つけるの?




もう、岳の気持ちがわかんないよ…




ストーリーメニュー

TOPTOPへ