君がくれたぬくもり
第56章 離れないで
「ごめんな……」
岳はそう言うと、濡れた目にそっとキスをした。
「行くぞ。」
岳は陽菜の腕を引き立ち上がらせると、
陽菜の手に指を搦め、出口の方に歩きだした。
「次からは手…繋ぐから…//」
「ぅ……うん…///」
改めてそう言われ、何だか恥ずかしくなったが
すごく幸せだった。
―――――……
ショー会場を出る。
再び大水槽を見てから帰る予定だったが、
何故か岳は出口へと向かっていた。
そしてしばらくして、駐車場に出る。
「ねぇ、もう帰るの?
大水槽見るって……」
「悪い……もう無理…」
「へ………?」
もう無理、って…?
どういうこと?
何が無理なの?
一気にネガティブになる。