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夢叶う日まで

第1章 集まった21人

会場はすでに人でいっぱいで、あたしたちは奥の席に通された。

「じゃ、とりあえず乾杯で!」

広瀬さんがニコニコと言った。

「「カンパーイ!」」

そこからは飲めや騒げやの大騒ぎ。
じゃんけんで負けたらイッキ飲みしてから、料理を取りに行く、とか
トイレに立った人のビールに違うお酒を混ぜて、戻ってきたらイッキ飲みさせたりとか。
しまいには近くの女の子をナンパしに行くし、あたしも席を立ったところでナンパされたりとか。

お酒の力って怖い(笑)

しばらくすると、反対側にいたサトシが隣に座った。

「ひなた、ほんと強いね?」

大分飲んでいるにも関わらず、顔色1つ変わらないあたし。
顔色が変わらないのは体質で、酔っていないわけじゃないんだけど。

「程よくは酔ってるよ?ふわふわして気持ち良いもん」

言いながら、カクテルの入ったグラスを開ける。

「でも、さっきトイレ行ったとき、全然普通に歩いてたじゃん」
「まーねー、遺伝だし」

あたしのお母さんもかなり強い。

しばらくとりとめもない話をしていると、テーブルの下でサトシの手があたしに触れた。
驚いて顔を上げると、サトシはあたしを見つめていた。

「…ひな、俺、ひなたのこと好き」
「サトシ…?」

サトシの手が、あたしの手を捕まえ、そっと握る。
絡められた指が、ドキドキする。

「…このあとさ、二人で抜けない?」
「……」
「結局二人でいれなかったじゃん」

あたしはサトシの目を見つめた。

酔ってるだけなのか、真剣に言っているのか。

「アニキ、姉さん!」

ナンパに玉砕した秀樹が戻ってくる。あたしが手を離そうとすると、強く握られて阻止された。

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