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夢叶う日まで

第1章 集まった21人

あたしは…

サトシのこと、どう思ってるんだろう

真剣に勉強してる姿は尊敬するし、志望動機一つにあんなに熱心なところもかっこいいと思う。

何より、サトシは優しい。

「なんだよー、俺がナンパ失敗してる間に、二人良いかんじなわけ?」

テーブルの下の手は見えていないはず。
そんな雰囲気が出てるんだろうか。

「え、何?姉さんアニキのこと好きなの?」

亮二と良平も戻ってくる。
ビアガーデンに参加していたのは10人だった。
その全員がようやく揃い、また皆で飲み始める。

だれもあたしとサトシがテーブルの下で手を繋いでるなんて思ってない、だろうな…

そうこうしているうちに、ビアガーデンの会場に閉店のアナウンスがかかった。

ほとんどのメンバーはこのまま寮に帰るようだった。

「姉さんとアニキお似合いじゃん、このまま抜けて良いのに!」

さすがにもう手は繋いでいなかったけど、そんなことを言われると妙に反応してしまう。

「あのねぇ、あたしはよくても、サトシにも、選ぶ権利があるんだからね!?」

ふざけて言うと、サトシがあたしの肩を強引に引き寄せた。
よろけて転びかけたところを、サトシが支えてくれる。
とたんに囃し立てるメンバー。

「キスしちゃえよ、アニキ!」

良平が笑っている。
あたしもつられて笑うと、顎を掬われた。
驚いた時には、唇が重なっていた。

「んっ…」

すぐに離されたけど、あたしの心臓は壊れそうなくらいドキドキしていた。

「選んだ結果がこれなんだけど?」

ニッ、と、笑ったサトシがかっこよくてくらくらした。

そのあとは、囃されて煽られて、結局二人で帰ることになってしまった。

サトシに手を引かれて、タクシーに乗る。

「ひな、嫌?」
「……じゃないけど」

多分、あたしもサトシが好き、なのかな。

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