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夢叶う日まで

第2章 戸惑い

二人でシャワーを浴びて、ホテルを出る。
まだ6時を回ったところだけど、サトシは一度地元に帰らなければならない。

「くそー、もうちょっとゆっくりしたかった…」
「仕方ないじゃん」

手を繋いで、駅に向かうバスに乗る。
サトシは願書提出のために、地元に帰らなければならないんだ。

「なんで郵送じゃダメなんだよ…」
「でも、そう思って諦める人もいるんだから。最初のふるい分けってことでしょ?」

そうだけどさー、と不貞腐れるサトシが無性に可愛い。

「駅についたら朝ごはんだね」
「うん…」
「そんな顔しないのー、日帰りでしょ?」

頭を撫でると、甘えるようにあたしの方に頭を傾ける。

「早く帰ってきてね」
「ん」

早朝の、ガラガラのバスのなかで、あたしたちはただ黙って手を繋いでいた。

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