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夢叶う日まで

第3章 ケジメ

イライラする。

カラオケの後にボーリングを楽しんで、寮に帰ってきてお風呂に入って。

時計は11時を指そうとしているのに。
サトシからの連絡が来ない。

12時を過ぎたら、門が閉まって出られなくなる。
そんなこと、知ってるはずなのに。

11時30分、ようやくメールが入った。

『遅くなってごめん、どうする?』

頭のどこかで、何かが音を立てた。
返す刀で電話を入れる。
ざわめきが聞こえる。

「どうする?って何」
『今から帰っても門限間に合わないから、どっか泊まるかって皆で話してたから』

眉間にシワが寄るのが自分でも分かった。

「あたし、無理なら無理で良いって言ったよね?」
『……うん』
「無理やなって思ったんなら、何でもっと早くメールなり電話なりしてくれないの?」

電話口の沈黙が痛い。
あたしたちは…
お互い「好き」という言葉は口にしていても。
あたしにはイマイチこの関係がはっきりしなくて。

「あたしは…サトシの何?」

気づけば、そんな言葉が口を突いて出ていた。

『何って…一緒に出かけれないのは悪いと思ってるけど…』
「そういう意味じゃなくて!皆の前でべたべたしたくないのとか、それは分かってるし。サトシは皆と出かけたいのも分かるよ。あたしは…あたしの立ち位置ってどこなの?」

暫くの沈黙。

『彼女…じゃないの?』

ふっ、と息を吐いた。
力が抜けるって、こういうことなんだろうな。

「彼女…で良いんだよね?」
『え!……あー、確かにちゃんと告白とか、付き合ってとか言ってなかった…よな。ごめん…』

慌てたようにゴニョゴニョ言ってるサトシが可愛くて、思わず笑ってしまった。

「ごめん、神経質になりすぎた。今日は良いや。今度からはもっと早めの連絡お待ちしてます」
『はい、ごめんなさい』

ちゃんと、
付き合ってるよね?
これで…
けじめ、つけれたかな!

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