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Sカレっ

第7章 ピンチっ



~瀬川 栄汰~


あんの馬鹿女っ

服ドロドロじゃねぇか!!

リュックも重いし、やっぱ投げてやろう!!



「おぃ、えな……」



あれ。

いない。




少し前で歩く久保たちに声をかける。

「おぉい、江奈がいねぇ。前いるか??」



すると、久保の彼女(名前忘れた 笑)はきょとんとして返事を返した。


「ううん、いないよ。ここのエリアあたしたち以外いないし」




…………。


俺は着ていた灰色のパーカーを脱ぐと、腰に巻いて半袖Tシャツになった。


「あいつのことだから、どうせ転んだ拍子に足でも挫いて迷子になったんだろう」



そして自分と江奈のリュックを久保に投げつけ、タオルを頭に結びつけた。


「なんで頭…」

久保が不思議そうに呟く。


「なんとなくだっ!!」


「え、迷子!?じゃあ探さないと…」

久保の彼女があたふたするが、俺がすかさず言った。


「あいつの面倒見るのは俺だ。先休憩場所に行っててくれ。すぐ連れ戻してくるから」

地図を開くと、休憩ポイントはあと1キロと少し。
まぁすぐ見つかるだろ。



「ぇ、うん…」


俺のらしくない行動に、久保たちは呆気にとられる。

俺らしくないなんて(誰も言ってない)、本人が一番よく分かってるよ!!!!



「…っ瀬川!!」


久保の彼女が真剣な目で俺を見る。


「…その…江奈のこと…」



???


なんだぁ??


「好きっ…なの??」



……………………??

「はぁ!??」

思わず大声が出てしまった。


「あ、そぉだよね。アハハハ…そんなわけ…」



「そんぐらい、俺の今の必死さで気づけよ」






そう言い残し、俺は走って来た道を逆戻りした。

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