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それでも恋するドM娘

第8章 代用品

「おはよー光太くん!!」

「おはよー千紗。ん? なにそのヘアピン?」

「えっ? いや、別に何でもないよ……」

「そう? 髪短くしたのにヘアピンなんて変わってるというか、スポーツ選手みたいだなって……」

姫野のくりんとした目で不思議がられ、千紗は焦る。

『いつも鈍いくせにこういうときだけは鋭いんだからっ……』

姫野の気持ちを知ってしまった上で寺居と付き合ったことに対する後ろめたさも、もちろん感じた。

「ち、遅刻するよ。早くいこっ!」

誤魔化すように急ぎ足で駅へと向かう。

「ま、待ってよ、千紗!」

姫野はちょこちょこと慌てながら千紗のあとを追った。

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