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しかしそれは杞憂に終わることとなる。

なぜならば寺居の方が学校に来ていなかったからだった。

ほっとする反面、昨日の出来事が関係していないはずがないという罪悪感に苛まれる。


寺居は帰宅した時、アルバムと共に投げ出されていた昔の彼女との写真を確認してないはずがない。

千紗に昔の彼女の面影を求めた寺居。

それがばれてしまった時の寺居の心痛というのも計り知れないものがあると千紗は感じた。

『もっと冷静に、せめてあの写真を片付けた上で家を出ればよかったのに……バカだ、私……』

愛する人を傷付けてしまった苦しみで千紗は顔を歪める。

『昔の彼女のことなどまるで知らない振りをして、わがままばかり言ったり、自分勝手に振舞って約束をすっぽかしたり、髪をまた伸ばしたりして…………自然と寺居君に嫌われるようにすればよか
た……
そうすれば寺居君を傷つけることなんてなかったのに……』

千紗はそんな反省をし、涙が堪えられなくなる。

朝の教室にも関わらず千紗はぽろぽろと涙をこぼし、慌てて机に顔をうずめて隠した。