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それでも恋するドM娘

第8章 代用品

一晩中泣き腫らした千紗の目は、まだ腫れぼったかった。

それを見た姫野はずいぶん驚いた表情をしたものの、あれこれと詮索してこない。

むしろ何事もなかったように日常会話をしてくれた。


そんな幼馴染みの優しさに心中で感謝した。


学校が近づくたびに千紗の胸はきゅーっと痛む。

心臓がバクバクと鼓動を速め、手にはじわっと汗で滲んでいた。


『寺居君の顔を見て平気でいられるかな……?

顔を見た瞬間泣いちゃわないかな……』


そんな不安ばかりが脳裏を過ぎった。

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