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千紗は富士見の言葉に少し慰められた気分になる。

その続きの言葉が聞きたいと千紗は耳を傾けていたが、富士見はそれ以上その話を続けなかった。

「まぁ、その悩んだ顔でも充分可愛いよ。そこに座ってごらん。描いてあげるから」

富士見が鉛筆で指した椅子に千紗は座る。

千紗が座ると富士見は真剣な表情に切り替わり、素早く鉛筆を走らせはじめた。

視線はじっと千紗に固定し、手元をほとんど見ずにスケッチブックにデッサンをする富士見。

射抜くような真剣な眼差しに千紗は思わず背筋が伸びる思いがした。

時折口元を緩めたり、眉をひそめたりしながらさらさらとデッサンは進んだ。