テキストサイズ

それでも恋するドM娘

第9章 対峙

「佳菜子さんって……あの写真の?」

千紗は恐る恐るどちらへともなく質問する。

「ああ……あのショートヘアの子だ。藍田佳菜子……俺たちと同じ中学だった」

朝霧が千紗に答える。

「佳菜子は三年のときに--」
「べらべらしゃべんじゃねーよ、朝霧」

血走った目で寺居が睨んだが、知的で冷血な彼は全く怯むことなく言葉を続きた。
「三年のときに佳菜子は死んだんだ」


「……ッ!」

衝撃の展開に千紗は目を見開いた。

「交通事故だった。すぐに病院に運ばれたが打ち所が悪かった佳菜子は搬送後まもなく息を引き取った」

朝霧の言葉に当時を思い起こしたのか、寺居は悲しい表情になりうつむいた。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ