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それでも恋するドM娘

第11章 夏の音

「随分と幼稚な奴だな……」

立ち去ろうとするその背中に、朝霧がなじる声を浴びせた。


「なんだとっ!!」

振り返った姫野は普段見せることのないような険しい表情を浮かべていた。

「好きか嫌いか。その二択しかないんだな、お前は」

「……何が言いたいんだ」

今にも飛びかからんばかりの血走った目で朝霧を睨む。


「まあいい。君も来いよ、ホテルの部屋に。もっとも君にその根性があればの話だが……」

それだけ言うと朝霧はさっさとホテルの中に入っていってしまう。

姫野は千紗と見つめあい、覚悟を決めたようにホテルへと歩き出した。

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