それでも恋するドM娘
第13章 新しい季節は。
二学期の始業式の朝。
こんなに気だるく、長く、気分の晴れない夏休みは人生ではじめてであった。
玄関を出ても、当然のように姫野光太の姿はない。
夏のはじめに姫野を深く傷つけて以降、千紗は顔を合わすはおろかメールのやり取りすらしていない。
厳密には千紗の方からは送ったのだが、返信はなかった。
姫野と何の連絡も取り合わなかった一ヶ月。
気がつけば物心がついてからずっと一緒だったかれと、これだけ長い時間連絡を取り合わなかったことははじめてだと、今更ながらに気付いた。
いて当たり前の存在。
そんな光太に自分はずっと甘えていたのだと気付く。