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「知ってるよ……」


千紗は呟く。



「これ、陽菜ちゃんでしょ、河西陽菜ちゃん……知ってるよ私。
ちゃんと知ってる……
朝霧君が陽菜ちゃんとこんなことしてるのも……私が弄ばれてることも……知ってるよ」


「千紗……千紗はいいの？ そんなんでいいの!?」



「いいもなにも……好きになっちゃったんだから仕方ないじゃない……
いいことだから人を好きになる、なんてことないでしょ？
いいか悪いかなんて関係なく、好きだから好きなんじゃないの？ こ、光太君だって私が全然光太君に傾かなくたって好きだって言ってくれたじゃない……
そんなものでしょ、恋愛なんて……」



「けど……朝霧は」

「いいの。私はそれでも朝霧君に恋してるから」



千紗の真剣な表情を見て、姫野は呆気にとられた顔をする。

そしてすぐに意地の悪い表情に変化した。


「そうか……わかったよ、千紗。千紗の気持ちはよくわかったよ……」