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恋のかたち

第4章 約束・・再新

しゃがみこんだ優愛の肩を叩く手がある

振り返ると、飲むには後少し早いような時間に既に酒に飲まれた中年男が、にやぁっと下品な笑みで優愛を見た

ヒッと息を飲み、逃げそびれた優愛に馴れ馴れしく体をなでてくる男に寒気がした

恐怖で、動けずにいると
「ここにいたんだ?おいで」
優しい口調で優愛の手を引き、助け起こしてくれた

中年男は、残念そうに優愛の隣に立つ男をみたが、何も言わずにそのまま繁華街に消えていった

優愛は握られた手から徐々に目線をあげていく

にっこりと微笑んだ男は、先程女性と歩き去ったあの痴漢男だった

またも驚くしか出来ない優愛は、それでも必至に言葉を紡いでお礼を告げ、その場から去ろうとした

「まって」
男に呼び止められ、足を止めた

振り返ると、ふわりと抱き締められ、そのまま数秒時がとまった

「あっ・・あの・・」
「ごめんね。遥・・僕の名前」
「・・・」
今更知っても、何もかも遅く、そして儚く切ない・・

振り向くことすらせず、ひたすらもと来た道を走った

溢れる涙は止まらなかった

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