テキストサイズ

恋のかたち

第5章 新生活

ニヤっと、企みの笑顔に、引きつる優愛
「お前から俺にキスしろ。んで、チャラにしてやる」
「・・!あっのっ、はっ・・歯磨いてなっ・・」
言い終わる前に、般若が秋豊の顔に見えた気がした優愛は、目を閉じて、キスをした・・

「~~・・おい・・まぢかよ・・」
そっと目を開ける・・
明らかに喋れてる秋豊はおかしいはずで・・
優愛の視界と触れてる唇は、秋豊の顎だった

「どーりで、なんか硬いと・・」
ゆっくり後ずさりする優愛の腰を不機嫌まるだしの秋豊の腕が抱き寄せた

ひっ・・小さく悲鳴を上げた優愛の唇は秋豊によって塞がれた

「お前下手にも程があるぞ・・」
怒り通り越して呆れた顔の秋豊にショックを受ける

何も言えない優愛
チュッと艶めかしい音と共に、唇だけじゃなく、舌まで入り込み、優愛を捉えた

「ふっぁっ」
思わず声が洩れ、絡めた舌と唇は解放された

恥ずかしい気持ちで、頬が染まった優愛

「おい、時間のロスだ。飯作れ」
甘い名残なんて木っ端みじんにする発言に、逆上せそうだった優愛も正気になった。

ー30分経過ー

「・・・」
「・・・」
「・・おい・・味噌汁・・お湯に味噌溶いた味だぞ・・それに・・これは目玉焼きのつもりか?」

お椀をすすり、目玉焼きに手をつけた秋豊は箸を止めて
優愛を一瞥して聞いた

「お味噌汁・・そうです!よくわかりましたね♪どうですか?
目玉焼きは、少し焦がしちゃったんですけど、問題ないですよね?」

初めて作ったにしては上出来だと自負していた優愛は、期待する眼差しで聞いた

が、明らかに美味しいものを食べた人の顔と雰囲気ではない・・

「本気なんだな・・・」
「え?」
ワナワナする秋豊に、強張る優愛
「味噌汁にダシはいれてねぇ、目玉焼きはちょっとだと?この焦げがちょっとだとぅ~?裏全部真っ黒でにげぇんだよ!!・・タクっ」
そう言いながらお味噌汁を飲み干すと、お椀を優愛に出し、おかわりといった

「え?でも!?」
驚きを隠せない優愛
「時間ねぇ、足りねー、まだ残ってんだろ?無いならお前のよこせ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ