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完熟の森

第5章 誘惑の森

授業が終わると、席の近くの富岡(トミオカ)に話しかけた。


「なあ、あの森行った事ある?」


僕は窓の外を指差して聞いた。


「子供ん時あるけどなんもねえぜ。
あっ古びた木の家があったような…」


「ふうん」


僕はまた森を見つめた。


この辺りは田舎だから大抵地元の子はこの私立高校かもう一つの荒れた県立高校に入る。


だから高校生のくせに僕達は割とみんな家が近かった。


富岡も理音も僕も、地元でこの土地からあまり出た事がない。


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