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ファースト・ラブ

第3章 第2章~直の心~



岩木先輩の背中が見えたと同時にオレはゴールした。
……また岩木先輩に抜かれてしまったのだ。

「今のタイム、岩木11秒27。佐々木11秒40。2人とも今シーズンベストだな !!」

タイムなんてどうでもよかった。ただ、岩木先輩に抜かれてしまったことがすごく悔しかった。
くそっ !! なんでいっつも最後で抜かれるんだ !!! どうして毎回逃げきれねぇんだよ !!!!
歯をくいしばって叫びたいのを我慢する。

他の誰に負けようがかまわない。けど、世界中でたった1人、岩木先輩にだけは負けたくないのに !!
岩木先輩を抜けない自分にすごく苛立った。自分が情けねぇと思った。


イライラしながらスタート地点に戻ろうとしたときだった。
ふと隣に岩木先輩が歩み寄ってきてオレのほうを向かずに小さな声でボソッと言った。

「沙菜からの伝言だ。朝、遅刻した罰の反省文があるから先に帰ってて……だとさ。」

反省文 ?? あいつ、今朝オレと学校に来たよな ?? どうやったら遅刻すんだよ。


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