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壊れる程に愛してる。

第3章 日常




私の地元はここから電車とバスを乗り継いで5時間以上かかる田舎にある。

小学校から高校まで、それぞれが1校で収まるくらいしか子供はいない。

将来の就職のことも考えて、私は地元を離れたレベルの高い高校に通いたかった。

だから両親に反対はされたものの、1人で親元を離れて小さいけどまだ築5年のキレイなアパートに住まわせてもらっている。


「違うか…」


私は自嘲気味に笑った。

家に居場所がないから出てきたのだ。

両親が仲違いで小4の春に離婚し、しばらく母と一緒に暮らしていた。

しかし中1の秋に新しい男性と再婚し、その男性との間に新しく子供ができた。

2人共嫌いではなかったが、私は行き場も居場所も見付けられずにいてただただ堪らなく辛かった。

そんな現実を見ていられなくなって、正当な理由をつけて家を出たんだ。

そうして地元を出たクセに、堪らなく地元に残った友達に会いたくなる。

だからこうして卒業アルバムを見るのが日課になってしまった。


「そろそろご飯作らないと…」


制服を脱ごうと寝室へ入り、紺色と白のボーダーのネクタイを外した。

そのとき、ピンポーンと間の抜けた音が部屋に鳴った。


「え、え…っ」


焦ってもたつきながら汗ばんで肌にくっつく水色のYシャツと織り上げてあったネクタイと同じ配色のチェックのスカートをベッドの脱ぎ捨てた。

クローゼットの中から部屋着用の黄色とピンクの水玉柄のパイル地でできたキャミワンピを着ようとしたとき、ガチャガチャと音がして部屋のドアが開けられた。


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