
壊れる程に愛してる。
第3章 日常
「あれ…ルナいたの?」
合鍵に付いたキーホルダーを指でクルクルと回しながら、1つの人影があっさりと部屋へ入ってきた。
「あ、ショウか。おかえり♪」
ショウ…天野星は私の彼氏。
高1の春から、つまり去年の春から私達は付き合っているため、もう一緒に過ごして1年と3ヵ月近くが経つ。
「出ないからまだ帰ってないのかと思ってたけど、着替えてたんだ」
寝室に散らかった制服を横目で捕らえて彼は言った。
彼は頭の回転が早い。
私とは違う公立の学校に通っている。
私の通う学校も県内で3つの指に入るくらい難しい学校だが、そこは県内でズバ抜けてレベルが高い。
「俺も着替えよー」
合成の黒いスクールバッグと部活用の砂で汚れた赤いエナメルバッグを玄関の床に置き、彼は寝室で着替え始めた。
夏だからノーネクタイである白いYシャツと薄手で白いラインとエンブレムが付いたライトグレーのベスト。
タイトでダークグレーのグレンチェックをしたパンツと飾り気のない黒い合成のベルト。
それらを綺麗に脱いでいき、細身だけどほどよく筋肉が付いている日に焼けた体が露になる。
「…何ジロジロ見てるの?視姦?」
そう言われてハッと我に返る。
違うもん!!などとメチャクチャな弁解を述べながら、自分の脱ぎ散らかした制服を拾い集めてシワを伸ばしハンガーに掛ける。
そんな私の姿を見て、彼は左手で顔を隠しながら可笑しそうにしている。
