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激愛~たとえ実らない恋だとしても~

第3章 其の参

「俺もだ、美空。俺にとってもお前はかけがえのない宝物なんだ。お前と、これから生まれてくる赤ン坊が俺の宝、家族なんだよ。だから、今度からは大切なことは俺に隠さず何だって相談してくれよな。たとえ嬉しいことだけでなく、辛いことも苦しいことも俺に一緒に背負わせてくれ。俺たちは家族なんだから」
 家族―。自らの過去や父母のことを一切語ろうとせぬ男の口から初めて出た意外な言葉は、予想外の新鮮な愕きと感動を美空に与えた。
 想いが、歓びが溢れて、言葉にならない。
 美空は泣きながら、うんうんと何度も頷いたのだった。

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