
甘く溶かして。
第2章 幼馴染
吉野は言ったとおり、
あたしを家まで送ってくれた。
場所は前と変わってないので
道は覚えていたらしい。
すごい記憶力だ。
あたしはずっとぎこちない態度だったが
ずっと喋りかけてくれた。
前は無口だったのに、変るもんだな~。
「じゃね」
「うん、もう一生会わないよね」
「ちょっ、ひどくね!?」
吉野が今どんな顔してるかなんて
見てない…正しくは
見れないあたしにはわからないけど、
温かい雰囲気だということはわかった。
―――――だが、
あたしは家に入り
玄関のドアに寄りかかって
この記憶は抹消する、
そう心に誓った。
