
甘く溶かして。
第1章 矛盾
「―――チッ爆発しやがれ」
しっかり見ていた男の人が
変な決め台詞とともに去っていった。
―――してしまった…。
あたしのファーストキス…。
知らない人と…。
こんなところで…。
でも何故か、
愛おしく感じた……。
なんか悔しい、
矛盾してる。
嫌だと思っているのに
もっとしたいと思う。
あたしは少し切なげに密着していた体を
彼から離した。
「…あんた、誰?」
あたしは照れくさそうにそっぽを向く。
一応キスした相手。
名前くらいは知っておかないと…
「…覚えてないの、若菜?」
