
RAIN
第1章 プロローグ
雨は嫌いだ――
昔から雨が嫌いだった。
父さんが死んだ日も、そして葬式の日も雨 だった。
雨は俺から何もかも奪う。
嫌いな雨の日に、美しい貴方と出会い、一 目で貴方に惹かれた。
儚い貴方が雨に奪われそうで、俺は必死に なって手を伸ばす。
今も雨が嫌いだ。
あの人を苦しめる雨が嫌いだ。
あの人を奪おうとする雨が心底憎い。
だから俺は命をかけて、あの人を護ろうと 誓ったんだ。
美しいあの人を一生涯、愛し続け、そして 一生護ってみせる。
嗚呼、どうか神様。
俺から愛しいあの人を連れて行かないで。
俺から奪っていかないで。
いつか俺の中から、そしてあの人の中から 悲しい、残酷な雨を降り止ませてくださ い。
雨は嫌いだ。
雨よ、悲しい滴を流さないでくれ……
