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RAIN

第2章 雨の中の出会い《翔side》

思い出の公園は昔とほとんど変わらない。老朽化した遊技を変換したのはいくつかある程度で、だけど俺の記憶とさほど変化はなかった。

ふと思い出に浸っていると、急に俺の視界に入るものがあった。



公園の片隅に遠慮がちにある木製のベンチ。そのベンチに一つの人影があった。
その人影が気になり、目を向けた途端、俺の世界は動きを止めた。


今も降り止まないどしゃ降りの中、その人は静かに世界から沈黙を守り、ただそこに座っていた。
傘も差さず、雨にずぶ濡れのまま、顔を俯けてそこにいた。まるでその姿は世界を拒絶しているような印象を与えた。


何故だろう。俺はその人から目が離せない。それは引力に引き寄せられるように。

どうしてだろう?
もっとあの人を見たい。あの人に近づきたい。その思いが強くなり、俺は惹かれるように歩み寄っていた。

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