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RAIN

第7章 諦められない想い《翔side》

呆然と立ち尽くすしかなかった。
拓海さんに突き付けられた言葉は、俺に多大なダメージを与えた。

『俺に関わらないでくれ。迷惑なんだ……』

拓海さんに放たれた言葉の刃は、俺の中に鋭く抉る。

何か失言、もしくは無礼な行動をしてしまったのだろうか?
しかし俺はあまりに突然のことで、何も考えられず、拓海さんが去った方向に呆然とするしかなかった。


どうして? そればかりが反復する。

何分経ったのか。いや、下手すれば何十分か……。
時間の経過も全く感じず、ただ無意味に宛もなく歩き続けていた。歩いたというよりは彷徨っていたといった方が正しいか。


拓海さんに嫌われ、絆を絶たれたことが何よりも辛く、世界の終わりすら感じずにはいられなかった。

悲しくて、悔しくて目頭が熱くなる。徐々に目の端に水分が含んできて、それは一気に集まって、溜まった水分が耐えられずに頬へと伝い落ちていく。幸いなことに周囲に人影はなく、俺の情けない顔をみられることはなかった。けれどいつ見られてもおかしくない。だから惨めな自分を見られたくないと視線を下に落とし、シャツの袖で濡らした頬をやや乱暴に拭く。ついでに両眼に溜まった涙もごしごしと拭う。

歩き続けてどのくらいなのか、時間の感覚なんてないに等しかったが、ぽたっと俺の涙とは違う水滴を感じ、地面にもところどころに点々とついた模様に、重い頭を無理に空へと仰ぐ。

雨だ、と判断するのに数秒の間をおいた。


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