
夢幻の蜃気楼
第2章 石段
東京にでた僕は時間の許す限り、孝次兄ちゃんを捜した。
だけど情報は全くなく、半分諦めかけているのが現状だ。
誰かが言ったように、孝次兄ちゃんは神隠しにあったのかもしれない。だからどんなに捜しても見つからないんだ。僕の中でそんな非現実なことが頭を掠めるようになってきた。
だけど今、かすかに聞こえる声は間違いなく孝次兄ちゃんの声だ。
やっぱり孝次兄ちゃんは生きていたんだ。そして僕を起こしにきたんだ。
「まだ起きないのか? ならくすぐって起こすぞ」
孝次兄ちゃんの最終手段が発令された。これも僕を起こす時に必ず実行される手段だ。僕がくすぐったいのが弱いのを知っての最終手段。
待ってよ。今すぐ起きるから。
……そう思うんだけど、体がいうことをきかない。鉛のように重く、目蓋も自分の意思で開くことができない。
意識はしっかりしてるはずなのに、どうして起きることができない?
またすぐに上から声が聞こえる。
「おい、いい加減に起きろってーんだよ!」
苛立ってるような、荒い声音がかかる。
そしてそれは聞き慣れた優しい孝次兄ちゃんの声ではなかった。
だけど情報は全くなく、半分諦めかけているのが現状だ。
誰かが言ったように、孝次兄ちゃんは神隠しにあったのかもしれない。だからどんなに捜しても見つからないんだ。僕の中でそんな非現実なことが頭を掠めるようになってきた。
だけど今、かすかに聞こえる声は間違いなく孝次兄ちゃんの声だ。
やっぱり孝次兄ちゃんは生きていたんだ。そして僕を起こしにきたんだ。
「まだ起きないのか? ならくすぐって起こすぞ」
孝次兄ちゃんの最終手段が発令された。これも僕を起こす時に必ず実行される手段だ。僕がくすぐったいのが弱いのを知っての最終手段。
待ってよ。今すぐ起きるから。
……そう思うんだけど、体がいうことをきかない。鉛のように重く、目蓋も自分の意思で開くことができない。
意識はしっかりしてるはずなのに、どうして起きることができない?
またすぐに上から声が聞こえる。
「おい、いい加減に起きろってーんだよ!」
苛立ってるような、荒い声音がかかる。
そしてそれは聞き慣れた優しい孝次兄ちゃんの声ではなかった。
